軽井沢移住に失敗しないために聞いてほしい、5つのアドバイス

2019年4月1日
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この4月で、軽井沢で生活も5年目に入った。早いものだ。

以前に比べると移住に関して情報発信する人も増えてきたし、Twitterではゆるいコミュニティみたいなものもできたりして、移住者懇親会も実施できるくらいまで盛り上がってきた。

このブログもおかげさまで、1日に500から、多いときには1000アクセスを記録するときもあるし、働き方改革の流れでテレワーク(リモートワーク)などのフレキシブルな働き方ができるような仕組みも、ゆっくりではあるが前向きに進みつつある。移住検討者の数は日に日に増えているのではないかなあという実感がある。

ただし、この場を借りて一つだけ言っておきたいことがある。それは、軽井沢移住ってそんなに簡単じゃないですよ、失敗したり悩んだりする人もたくさんいますよ、ということだ。

今日、このツイートをしたところ、いくつか返信をいただいた。

このやり取りをしながら感じたことがあった。

それは、こういったブログを見たり、Twitterで軽井沢移住者の人をフォローしたりすれば、インターネットでいくらでも情報がとれる時代にはなった。Twitterなんてものはその顕著な例で、知らないことがあっても、アカウント作って現役の軽井沢移住者を見つけて話しかければ、いくらでも繋がることができるし、そこである程度の知識を得られると思う。そこにはほとんどコストがかからないし、ほとんどの人が、まずそれをして移住を検討し始めると思う。

ただ、それだけの情報・・・つまりインターネットに落ちている情報だけを元にして、想像を膨らまして変な確信をし、土地を買ったり家を建てたりするのは、ちょっと危ないんじゃないかと思うのだ。それは、個人的な相談を受ける中で、いろいろ考えたが移住をやめたという人もたくさん見てきたし、移住に失敗して知らないうちに軽井沢を去る人も、少なからずいることを知っているからだ。

インターネットで検索をかけると、移住してよかった、成功した、という話は溢れているが、失敗した、最悪な結果になってしまった、という話は、みんなしたがらないし、見つからない。でも、本当はそのあたりがみんな知りたい点だし、本当に大事なことなのではないだろうか?

ということで、今回のブログでは現実的な視点で、軽井沢に移住することを検討している人達へ有用なアドバイスとなるよう、その心構えについて、老婆心ながら綴ってみようと思う。

1,軽井沢は決して住みやすくはない

軽井沢に住んだことがない人は、いわゆる旅行客の持つ避暑地のイメージだけで軽井沢を捉えがちなのだが、軽井沢は決して住みやすい土地ではない

例えば夏の湿気。苔むした別荘地は見た目は美しいけれど、湿気が溜まっている裏返しでもある。

寒暖差の大きい夏だけではなく、冬でも霧が濃い日があるので、この中で生活をする不便さはある。

なぜ軽井沢には霧が多いかは、こちらの記事が詳しいのでそれを参照してみてください。

 

ということで、中古別荘なんかを買って住もうと考えるのであれば、この霧に伴う結露やカビと戦う覚悟が必要である。

また、以前のブログでも言及したが、軽井沢のピークシーズンは、オフシーズンと異なり、いろいろなことを考えながら日常生活を送ることになる。例えば、

・買い物をするタイミング

・出てはいけない道路

・交通事故の多いポイント

・駐車できる場所とできない場所

・入ってはいけないお店

といった具合だ。特に、レンタカーを運転してくる観光客が多い季節は、どうしても事故が多発するため、最新の注意を払う必要がある。

観光客増えすぎ問題は、「オーバーツーリズム」という概念があり、詳細はこちらのブログ記事を参照してほしい。ただ、細かいことは抜きに端的に述べると、観光公害のある土地にわざわざ移り住む、ということは、生活利便性の点から理性的に考えたときには、全く良い選択肢ではないと思う。

2,冬の長さと軽井沢ブルーは厄介だ

軽井沢に移住する人は、春に引っ越しという人が一番多いと思うのだけれど、ここでの落とし穴は「冬の軽井沢」を知らないことである。

この冬の軽井沢を乗り切るためには、ウインタースポーツを楽しんだり、薪ストーブを生活に取り入れたり、思い切って南の島にでも旅行を入れたりなど、いろいろと知恵が必要で、これは実際にひと冬過ごしてみないとなかなかわからない感覚ではあったりする。

また、生活必需品であるカーライフも、都会のそれとは全く異なるので、そのあたりの心構えも、きちんとしておいたほうがいいと思う。

まずスタッドレスタイヤが必要だし、その他に雪対策に伴う出費についても、覚悟が必要だ。

 

また、冬はずっと氷点下で外を歩かなくなり、運動量が落ちる。日照時間も短いので、セロトニンの分泌量(日光を浴びることと適度な運動を行うことによって生成される)が急激に少なくなり、窓から見える緑も少なく、気分が落ち込むことも少なくない。これは、科学的に考えても、うつ病の発症を高めることになる。

自分も冬が辛いってツイートしていた。2月の末、冬が4ヶ月ほど続いたタイミングだ。

そうなのだ。軽井沢の冬は寒いだけではなく、長いという点にも注意すべきで、この感覚はなかなか文字では伝えられなくて、いくらブログに書いたとしても、実際に経験しない限りはなかなかわからない感覚なのである。

実は自分もうつ病になって、数ヶ月の間、休職をせざるをえないことがあったのだが(理由はここでは明記しないし、現在は無事に復職しているが)、この「軽井沢ブルー」は決して無関係ではなかったと思っている。

3,資本主義のイデオロギーを纏う「東京24区」で生きられるか

「都会の暮らしに疲れた」「キャリア競争に疲れた」みたいな理由で都市生活を離れるような移住がしたいといったモチベーションがある人は、軽井沢を選ぶことは絶対にやめたほうがいい。

軽井沢は、東京で経済的あるいは社会的に成功した人たちが集まっている場所である。そこで知り合いができたときに、そういったマインドセットを抱えている場合、自分との差を感じてしまう機会は東京以上に多くなる。

例えばどこかの金融機関の重役でした、とか、実はある企業の社長で社外顧問を含めると10社くらい面倒見ています、とか、実は超有名な上場企業の執行役員なんです、とか、他にもこのブログでは書けないような日本社会における重要人物も、確実にいらっしゃる。そして、そういう人たちと会うことは珍しくない(もちろん生活動線が全く違ったりすることもあるので、住んでいるという噂はあるものの、絶対に見かけないような人もいるけれど)。

もちろん、そういう方々は、実際にお会いするととてもフレンドリーで、偉い人ほど人当たりもよく、いやあすごい人の話を聞けたなあ、みたいな良い面は大いにある。また、そういった方々は東京にいるときと軽井沢にいるときでパーソナリティーは異なったりする(変に壁を作らない)ので、気軽に情報交換できたりするようなことは素晴らしいことだと感じている。東京に比べて地域で関わりがある機会は多く、変な話、子どもの保護者会とかでご一緒することだってあるわけだし、地域のちょっとしたイベントなんかでも顔なじみの関係になったりするわけで。

ただ、一般的な田舎生活と比べると、軽井沢は「東京らしさが、より濃く匂う土地」であることは否めない。

だから、どこかで自分のキャリアや生活水準を人と比較したりするような人には、軽井沢は合わない。「東京24区」という言われ方をする土地でもあるので、そこで生きていくのであれば、自分らしさを強く持った人でないと難しいのではないかと思っている。上を見ればきりがない。億レベルの豪邸がポンポン建っているのが軽井沢だ。

だから、本当にマウンティングに疲れた人は、リアルなド田舎に行くべきだ。そこに行けば、東京で得られた知識や経験を歓迎してくれる人はたくさんいるし、地域への貢献度も高いだろう。そのようなケースにおいては、軽井沢を選ぶという選択は、あまり良い判断とは言えないと思う。

4,軽井沢に住むことは経済的に合理的ではない

軽井沢の物件を調べ始めると、東京に比べてこんなに安いの?と思い、夢中で物件情報を見続けることがあると思う。

ただ、軽井沢に住むことは、経済的に合理的なのだろうか?不動産価格だけで判断すれば正しい。うちも、土地を買ったときの坪単価は数万円で、例えば豊洲にマンション買うことを考えたら信じられない価格だった。

けれども、こういうキラキラした話の裏には、実際には間違った決断になるリスクも潜んでいる。例えば、以下のような出費は、都市部では考えられないものだ。

・高額なプロパンガス(高いときには月に3万円以上)

・凍結防止のための電気代(こちらも月に3万円以上)

・暖房器具と暖房費(種類によって異なるが灯油でも年間10万円前後)

・車の維持費(1人1台の生活になるので2倍以上かかる。スタッドレスタイヤも必要)

・木の伐採費用(背の高いものや電線にかかるものは1本で数十万円というケースも)

こういう予想もしないような出費が、毎月発生するため、本当に快適な生活をしようと思ったらある程度の経済的な余裕は必要だということは、口を酸っぱくして言っておきたい。家計を節約したいから、という理由で軽井沢で生活を始めるのだとすると、それは大きな見当違いだし、経済的に効率的な生活は東京みたいな都市で最も享受できるだろう。軽井沢に限らず、田舎に住んでみると、それは都市部よりも非効率的で非経済的な生活ということに、むしろ気づくことになるだろう。

5,その移住生活は、家族全員が満足できる選択なのか 

最後に、一番大事な話を書こうと思う。

いろいろな移住検討者から相談を受け、話を聞いていると、移住するときにはだいたい夫婦やパートナーのどちらかが強いモチベーションを持っている事が多い。それは大いに結構なことなのだが、話を聞いていると、夫婦やパートナー間でギャップがあるのではないか?と感じることも多い。(みんな口にしないので、真意の程はわからないけれど。)

軽井沢に移住したい、という思いを持つことはいいが、移住後は毎日がその生活になるので、どこかで違和感を感じてついてきている家族にとっては、毎日どこかでストレスを抱えながら生活することになる。

なんとか折り合いをつけられる人であればいいが、元の生活をいつまでも思い出すような日常が続くと、いつかどこかで必ずそのストレスは爆発する。自分も夫婦二人で暮らしているが、妻が全くストレスを感じなかったかといったら嘘になるし、「本気で東京に戻ろうか」みたいな話を涙を流しながらしたこともあった。

配偶者だったり、パートナーだったり、子供だったり、生活をともにする人たちには、あまり我慢をしてほしくないなと思うことがある。それは、この移住がきっかけとなり、親子関係だったり夫婦関係が悪くなるというケースも珍しくはないからだ。きちんと関係者全員が納得をした上で、夫婦あるいは家族みんなで挑戦するぞ、といった前向きな気持ちがないと、いつかどこかで家庭内不和につながるので、これは熟慮したほうがいいと思う。

このブログを参考にしてくれている読者の方々へは、いいところを書いた記事だけを抜き取って配偶者やパートナーに見せることのないようにしてほしいと思うし、いい面も悪い面も理解した上で、移住する決断をするのもいいし、あえて移住を辞める決断をするのがいいと思う。

今回は、軽井沢に移住するにあたり、本当によく考えてからのほうがいい、という教訓をまとめたつもりだ。

軽井沢に移住しようと真剣に検討している方は、こういった事実をきちんと理解した上で、移住するしないを判断してほしい。

一方で、移住後でも、失敗したなと思ったら、元の生活に戻る勇気を持つことも大事だと思っている。そもそも、移住することはゴールではない。移住して家族全員が心身ともに豊かな生活を遅れるということが、本当のゴールだと思うし、毎日の生活で幸せを感じられなかったら意味がないと思うからだ。

ちょっと今日はネガティブなトーンでブログを書いたけれど、軽井沢移住の失敗だったり、ダークサイドも、きちんと紹介しておこうと思ったので。

ということで、このブログ記事が、いつか誰かの役に立ちますように。

このブログについて:2015年に東京都から軽井沢に移住した櫻井泰斗さんのブログを再編集してお届けしています。

新幹線通勤しようと思った背景はこちらの記事に書いています。

櫻井泰斗
2015年に東京都文京区から軽井沢町へ移住。移住当初から「#軽井沢から通勤するIT系会社員のブログ」を運営。Twitter上で、軽井沢の移住者や移住希望者をつなぐコミュニティをつくる。移住に関する情報交換や、移住者間のコミュニケーションを活発にした。2020年コロナ禍をきっかけに夫婦でYouTube活動を始める。軽井沢での暮らしや観光情報を発信している。
Youtubeアカウント:さくらい夫婦の 軽井沢チャンネル

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