トレンドと逆行するこだわりの深炒り。軽井沢のカフェオーナーたちを唸らせる『カワンルマー』

2016年4月5日
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トレンドと逆行する、時間をかけて深煎りされた逸品

軽井沢にこだわりのコーヒーが飲めるカフェは数あれど、それらのお店がこぞって豆を買い求めるという変わったカフェがあるのはご存じだろうか? 軽井沢から浅間山に向かってしばらく車を走らせると森の中に一つのカフェがたたずんでいる。ここが軽井沢で知る人ぞ知るこだわりのコーヒーが飲めるカフェ『カワンルマー』だ。
軽井沢中のコーヒー好きを唸らせる秘密、それはどこにあるのだろうか。それは豆を選ぶところから焙煎に至るまで全ての工程に並々ならこだわりを注いでいるところにある。
コロンビアやブラジルを中心に豆を厳選し、さらに自分たちの手でひとつひとつハンドピックして良質な豆だけを選んでいく。機械で行う通常のピッキングではどうしても不良豆が混ざってしまうが、全て手作業で行うことで良質な豆だけを使うことができ、しっかり風味の生きたコクのあるコーヒーに仕上がる。
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その豆を自社製の焙煎機で通常の2倍以上の時間をかけてじっくりローストしていく。いわゆる「深煎り」というものでじっくり時間をかけたコーヒーはそれだけ味は深まり、その味は噂を聞きつけた軽井沢中のカフェや高級ホテルがわざわざ買い付けにくるほど。
これからの暑い季節にオススメなのは、ほんのりラズベリーの香りがただようアビシニアンモカ。エピオピアの高原でとれた香り高い豆をミディアムローストで仕上げた一杯は、一口飲むとフルーツのような酸味が広がり「これがコーヒー?」と言いたくなるような爽やかな味。個性的な味なのだが、コーヒーの苦味もしっかり生きていて絶妙なバランスで保たれているのが分かる。たくさんの試行錯誤の末に生まれたものらしく、少しでもバランスが崩れると味が変わってしまうであろう儚さもどこか魅力的。他にもマニアックなものも含め多くの豆を扱っているので、何度も通って自分の好みを見つけていくのも楽しそうだ。
コーヒーチェーンが街中に溢れ、インスタント感覚で気軽にコーヒーが飲めるようになった今の主流は「浅煎り」だ。焙煎にそれほど時間をかける必要がなく、短時間で効率よく多くのコーヒーを淹れることができるが、どうしても深みやコクといった要素は犠牲になってしまう。そんな時代にあえて時間のかかる深煎りにこだわるのはコーヒーの味を最大限に引き出すためだ。
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「今はどうしても効率を重視せざるを得なくなって、時間のかかる深煎りで淹れるカフェはずいぶん少なくなってしまいました。深煎りすることでコーヒーの旨味を最大限に引き出せるんですが忙しくてなかなかそうも言ってられない。しょうがない部分もあります。それに深煎りが全てというわけではありません。香りは浅煎りのほうが引き立ちますし、中にはそのほうが美味しくなる豆もあるんです。それがコーヒーの世界の奥深いところで、豆ごとに一つ一つ試行錯誤を繰り返して最適な焙煎を見つけていくんです」
 

自分らしくコーヒーに向き合うために軽井沢へ

そう語るマスターの小野善造さんは軽井沢でカフェを開いている人なら知らない人はいないほどの有名人。全国に50人以上の弟子を抱え、彼の下で学び軽井沢でカフェを開いた人は何人もいる。豆の選定から焙煎方法、ドリップまで自身が培ってきた経験をもとに教えてくれるコーヒー教室は海外からわざわざ習いにくる人もいるほどの人気。現在は二代目の寛之さんとともにお店に立っている。
ちなみに『究極の自家焙煎術』という著書を出していることでも有名。時間や温度など、今まで経験則で語られがちだった焙煎方法を、小野さんが今まで試行錯誤して見つけ出した計測データをもとに客観的に語っている。プロを目指す人にも役立つほど細かなところまで網羅してあるが、分かりやすく書かれていて趣味で淹れている人も楽しめる内容になっている。端から見てもどこか突き抜けているものを小野さんから感じる。
「小さい頃からコーヒーが大好きで、ドリッパーを使って独学で自分でいろんなブレンドを作って遊んでいました。目覚めるのが早いですよね(笑)。そんな感じだったので高校生の頃にカフェでアルバイトを始めたあたりから本格的にコーヒーの世界にハマっていきました」
「僕は軽井沢で生まれ育ったわけではなくて移住組なんです。これまで長崎や大阪など、いろんなところに住んできましたが軽井沢は自然が本当に豊かで、街中でカフェをやっていた昔より自分らしく暮らせる気がします。もう16年もいます。こんな森の中にお店を開いたのも、わざわざ来てくれた人にゆっくりコーヒーを楽しんでもらいたいからです。もっと通り沿いにお店を出せば人はたくさん集まってきてくれるんでしょうけど、ワーッと混雑して特別な時間を邪魔してしまっても申し訳ないなと。カフェスペースもそこまで広くはないですし(笑)」
「これからの予定は特に何も考えていません。自分の好きな場所で好きなコーヒーを作り続けていければそれでいいかなと。ひょっとしたらまた軽井沢を離れて全然違う場所でお店を開くかもしれませんし。自分でも予想がつきません」
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ただひたすらコーヒーに情熱を注ぐこのお店。豆も販売しているので、コーヒーを飲んだら帰りに一袋買って家でも楽しんでみたい。軽井沢みやげにもオススメだ。マスターに伝えれば挽いて渡してくれるが、もし家にミルがあれば挽かずにそのまま買ってみたい。挽きたては香りが段違いで部屋中にコーヒーの豊かな香りが一気に広がる。もちろん粉にしたものも美味しいのだが、挽きたては一度飲んだら元には戻れないほどの味わいだ。軽井沢でカフェめぐりを楽しんいるうちに自分のコーヒーミルが欲しくなってくるだろうし(笑)、せっかく幻の豆を手に入れたのだ。これを機に一から自分で挽いてみてはどうだろう。マスターの小野さんとコーヒーについてあれこれ話しているうちに深い世界にハマっていくはずだ。
 

『カワンルマー』

住所:長野県北佐久郡軽井沢町追分1541-55
アクセス:「中軽井沢」駅より車で約15分
電話番号:0267-46-2070
営業時間:10:00〜18:00(日・祝休み)
詳細: http://www.kawanrumor.com/